インナーブランディングの重要性

小さな会社のはじめてのブランドの教科書

最近、ブランディングというものの重要性をひしひしと感じています。「何かをデザインすること」それはそれで必要なことなんだけど、ただ見た目を良くすればいいでしょ。と考えている人が思いのほか多い。何かひとつを小綺麗にしたところで、その裏側がプレハブ小屋みたいな作りでは一貫性はなく、一時の錯覚でしかありません。

では、デザインを含めたブランディングをどう考えればいいのか?そんなことを思って『小さな会社のはじめてのブランドの教科書(ダイヤモンド社、高橋克典著)』を読ませていただきました。

 

まずはじめに、今現在日本に存在する会社の99.7%は中小企業です。いわゆる大企業と呼ばれる会社は、ほんのごくわずかで、広告宣伝費に多額を投資できないという現実のもと、どのように企業のブランディングをしていくかが重要になってきます。

ですが、ブランドというものを短期間で儲けるための戦略とは考えないこと。また、ビジュアル要素だけに捉われないこと。そもそも『ブランドとは目に見えない要素も含まれている』のです。では、ブランドとはいったい何なのでしょうか?

ブランドを構成する主な要素

  • 名前
  • ロゴ
  • 精神
  • 哲学
  • 歴史
  • コンセプト

上からふたつの「名前」と「ロゴ」以外は、目に見えないもので構成されています。簡単に言ってしまえばブランドとは、「誰かの脳の中に出来上がる漠然としたイメージでしかない」とも筆者は言います。

接客や営業ひとつをとっても、コミュニケーション力を高めることや販売力を高めるという営業スキルは必要ですが、決して商品説明をうまくすることだけではなく、それよりも「お客様が話す言葉にどれだけ耳を傾けられるか」ということの方が、ブランディングにとっては非常に大切なスキル。デザインの打ち合わせでも、見た目をこんな風にしたいとか、シンプルで恰好良くしたいとか、表面上の要望は聞けるけれど、そもそもその理由をきちんと聞き出すことの方がもっと大事なことですよね。

また、会社で働く社員が企業理念や商品コンセプトを正しく理解するのは勿論のこと、自社の商品やサービスを購入していただいたお客様もまた、その会社の理念を購入や契約したことによって世に広めてくれるひとりにもなっていきます。口コミサイトでレビューを書いたり、SNSなどで拡散したり、twitterで批評をしたり、あっという間にひとりのお客様から複数人へ情報が広がっていくようになりました。

企業にとっては、社員がいくら宣伝したところでその母数は限られたものでしかありません。実際に購入していただいたお客様が、商品の魅力や価値を実感しているはずです。お金を支払って購入していただいているわけですから、その信用を裏切らないこと。更に、安心と信頼を得て友人やご家族にまで奨めてくださることは、非常に有益でその枝葉は特に重要な宣伝要素になるのです。

ビジョンとミッションを浸透させインナーブランディングを築く

外へのブランディング(お客様や対企業)を考える前に、中のブランディング(社員)からはじめること。いくらお金をかけてお客様を増やそうとしても、社員の精神が統一されていなければ一時的なもので終わってしまいます。また、企業が掲げるミッションは、目的に到達するために「何をして何をしないかを明確にすること」であり。何でもかんでもサービスを良くするということではありません。決して値下げをして目先の利益を追うなどは避けるべきでしょう。

そして、会社にとって一番大切なのは、「ビジョン」「ミッション」です。それらを社員全員に腹落ちしてもらうのが「インナーブランディング」の礎になります。

機能が充実しているだけでは売れない時代

数々の技術の進歩の成果として、ひとつの家電製品でも多数の機能が装備され、非常にコンパクトに便利なものが生み出されるようになりました。ひとつのもので複数の機能を備えるというのは消費者にとってもありがたいことではありますが、いくら先陣を切って開発をしたところで、他社の製品も同じように機能を装備するのは時間の問題なのです。時間が経てば、価格競争になっていくのは目に見えています。より良い品質・多くの機能だけに捉われるのではなく、人の琴線に触れるコンセプトワークができるかどうか。そこを確立していくことで、値段ではない価値を得て成功へと導くことが大切なことなのです。

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