知識ではなく経験値を積むこと

テキスト不要の英語勉強法

中学3年、高校3年、大学4年とトータル10年間という短くもない歳月を、英語学習にそれなりに時間を割いてきた者が、全くと言っていいほどに英語が聞き取れないし、話すこともできない。

果たしてそれは何故なのか?

社会人になって遭遇する海外赴任や外国人の上司、避けては通れない環境に身を置かれてから危機感に迫り、新たに時間とお金を費やして英会話に通う人も多いだろう。

学生時代に学んだことが決してムダとは言わないが、10年間という時間には比例しておらず、「あの時勉強しておけばよかった・・・」と、嘆いている人は少なくないはず。

何故?の問いに確かな答えはないけれど、主体性を持って取り組んできたかどうか?必要性を理解して学んできたかどうか?多くの人は試験のための英語でしかなく、「話せるようになれたらいいな~」という、希望の範疇の意欲でしかなかったと言わざるを得ない。

本書「テキスト不要の英語勉強法(KADOKAWA、布村奈緒子著)」では、語学に費やす時間ではなく、英語へのアプローチの仕方がそもそも問題であると指摘しています。

英語は、自分の意見を表現し、相手と交渉をするためのツールです。身につけるべきは、英語「を」話す力ではなく、英語「で」何を話すか、どう伝えるか。P24より

英語の授業でよく行われる教師が読んだ一文を繰り返し反復する「オーディオリンガル法(AL法)」。繰り返し反復することで反射的に記憶し覚えるようにする手法がありました。しかし、それでは型を覚えるに留まり、自分の言葉で話さなければならない実践においては万能ではありません。コミュニケーションを取ることの中に会話や聞き取りが生まれるため、伝えたいことは教科書に書いてある出来合いの言葉ではなく、自分にとって意味のある言葉を使うことではじめて話せると言えます。これを「コミュニカティブ・ランゲージ・ティーチング(CLT)」と呼びます。

また、「日本人が陥りやすい英語学習の8つのワナ」として、以下の8項目を挙げています。

1.正確さが何より大事・・・✖

間違えないで正確に伝える文法は確かに大切なことですが、何よりも大事なのは「即興性」や「流暢性」です。会話の中で一語一語間違えないように単語や文法を選んで会話の流れを遮っていては良いコミュニケーションは生まれません。少しばかり間違っていたとしても、何となく意味が伝わりながら会話の流れを遮らないことの方が、コミュニケーションにおいては重要な要素です。

2.すぐ辞書をひく・・・✖

意味のわからない単語に出会ったとき、すぐに辞書をひいて意味を理解することはもちろん必要なこと。しかし、その度に辞書をひいて会話を遮っていてはコミュニケーションはスムーズにいきません。わからないことに出くわした時にも、まずは会話の流れから意味を想像しつないでみる。自分の知っている単語で聞き返して確認してみる。そうやって、かみ砕いていきながら会話を進めることの方がより重要なこと。

3.全文和訳は、英語学習に欠かせない・・・✖

英語を頭の中で一旦日本語訳(和訳)して意味を理解する癖は、今日までにしましょう。英語は英語のまま理解するようにすることで余計な和訳に割く時間はいらなくなります。

4.とりあえず英文法を一から勉強し直す・・・✖

もちろん、文法をきちんと理解し整理することは大切なことですが、文法を理解すれば「英語が使える」ようになるというのは話が別なのです。

5.ネイティブと話せばうまくなるはず・・・✖

社会人になって英会話スクールに通う人は、きっと多いことでしょう。ネイティブの講師と会話をしながら学べば英語が話せるようになるかと言えば、残念ながらそうとも言い切れません。お金を払って通えば何とかなるはず!と思っている時点で、自ら学ぶ思考になっていない人が事実多いことでしょう。

6.謙虚さは美徳・・・✖

日本人としての礼儀や美的感覚には、素敵なものが多いのは間違いありません。しかし、このグローバル社会においては、謙虚さから遠慮して発言をしないということは「そこに存在する価値がない」とも捉えられます。「自分の意見」がそこにあるかどうかが重要で、正しいか正しくないかよりも、自分はこう思う!という意思表示があって会話も生まれるのです。「What do you think about it?」と聞かれてすぐに答えられるかどうか。それが大事。

7.決めた勉強は必ずやり遂げる・・・✖

あなたの目標は「英語を使いこなすこと」であって試験に合格することではありません。勉強をすること自体が目的になってしまっているようであれば、英語でコミュニケーションを取れるようになるには時間がかかってしまうことでしょう

8.TOEICの勉強をしていればビジネス英語も身につくはず・・・✖

TOEICはそのときの英語力を確認するための指標に過ぎません。得点が高くなれば英語が話せるようになるかというと、そうでもないものです。

このようにインプットすることだけではなく、どんどんアウトプットしていくことで会話はつながり、使えるようになっていくのです。

まとめ

新しいことを学びたいという意欲は、とても素晴らしいものです。知らないことを知りたいという欲求を種に、さらにはその必要性をきちんと理解しながら勉強や実践をくりかえしていくことで、英語を話せる、理解できる、会話ができるというように広がっていくことでしょう。

SNSでシェアしよう!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です