人を好きになることに理由なんて必要ない。
「あぁ自分はこの人好きだ」と思えば、それはすでに成立している。他の誰かがどんな理屈を並べたところで、その気持ちを変えることはできやしない。私には私の恋愛観があり、その人にはその人の価値観が存在する。そのどちらにも間違いはないのだから、メリットもデメリットももはや基準になることはない。
失業率も経済危機も犯罪の若年化も、好きな男の前にはまったくなんの意味もなさない。
社会の浮き沈みも不安定な世界情勢も、私には二の次であり、私は私がやりたいようにやるし、生きたいように生きることの方が自然である。
すべては満たされない。何もかもが万事OKになることはない。わかっているが、ここから逃げ出したい。逃げ出したいと願う同じ強度で、しかし、ここに座っていたいとも思う。
『愛がなんだ、(角川文庫、角田光代著)』駄目な男を好きになってしまう女性の本音はここにあるのかもしれない。
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愛がなんだ
角田 光代/角川書店装丁室 KADOKAWA 2006年02月25日頃
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